看護師から治験コーディネーターへ転職、苦労は多い!?

 

「治験コーディネーターって聞いたことあるけど、大変なのかな?」

「治験って未知の業界…看護師から転職した場合、苦労することはあるのか心配」

こんな方のための記事です。

私は看護師から治験コーディネーターへ転職し、7年間勤務しました。

そんな私が、苦労したことについて振り返ってみました。

 

 

 

看護師から治験コーディネーターへ転職での苦労

 

私の場合は、「看護師を辞めたい」とずっと思ってきての転職だったので全てが新鮮で、

そこまで苦労には感じていませんでした。

むしろ

「看護師の仕事よりも治験コーディネーターの仕事の方が性に合ってたみたい!
  転職して良かった。」

と思うことの方が多かったものです。

私は看護師として働いていたのは比較的緩やかな内科であり、3年のみの経験であったため、看護師色に完全に染まっていた訳ではなかったのかもしれません。

ただ、周りにはやはり看護師を含む医療系の前職と比較して、その違いに戸惑っていたり

結果早い段階で退職してしまう人もいました

そこで、そんな方々が口にしていたことや、

「看護師とのこの違いは苦労に感じる人もいるかもしれないな」と思うことを紹介しようと思います。

※私はSMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)の所属であったため

ここではSMOに所属し治験コーディネーターとして働いていた場合のお話が中心です。

 

苦労 治験業界の専門用語やルールの理解

 

転職すると、看護師時代には全く知らなかった治験業界の専門用語やルールについて触れることになります

私の場合は看護師時代大学病院に勤めており、

看護師サイドとして治験を目にしてはいました。

それでも、専門用語やルールに関しては全くわかりませんでした。

治験については1から勉強が必要です。

私が所属していたSMOは、特に最初の頃は座学が中心で

現場を見ていた訳ではなかったため、「ひたすら覚える」感覚でした。

現場に出るようになって先輩と一緒に実際動くようになると、体感としても理解しやすくなると思います。

 

 

苦労 医療行為ができない

 

SMOに所属の治験コーディネーターは、例え看護師資格を持っていたとしても医療行為はできません

検査結果をもとにしたアセスメントは治験コーディネーターにも必要ですが、看護師として働いていた時の看護技術を実際に活かせる場面はありません。

また、患者さんと直に触れ合って行う看護ケアも

治験コーディネーターの役割ではありません。

(内服薬の場合、患者さんにご説明し内服していただくことはできます。)

そこに寂しさや物足りなさを感じてしまう方はいるように思います。

治験コーディネーターの仕事は、プロトコル(治験実施計画書)に沿って、治験が遂行できるよう説明すること・看護師をはじめとする院内スタッフのサポートです

様々なツールを準備したり、病棟説明会を開いたりして

院内スタッフの方にご説明します。

実際に自分は行動できないので、

いかにプロトコル通りに誤りなく正確に業務を実施していただくかは、治験コーディネーターの仕事において難しい部分です。

前職で外科看護師としてバリバリ働いていた同僚が、

「採血も輸液管理も、申し送るより全部自分でやった方が早くてスムーズに行くのに」

と不満を漏らすのを耳にしたことがあります。

SMOではなく、院内所属のコーディネーターであった場合は、法的には医療行為ができますが、ほとんどはSMOの治験コーディネーターと同様の仕事の仕方をしていました。

どうしても看護師サイドが繁忙期で難しい場合は、

お手伝いすることもあるようです。

 

 

苦労 薬や疾病に関する広い知識

 

看護師時代も、疾患や薬剤の知識が不可欠であるため、勉強は必要でした。

ただ看護師の場合、少なくとも同じ病棟で数年働くことが

ほとんどであったかと思います。

治験コーディネーターの場合は、複数の担当案件を持つことが普通なので、より幅広い知識が必要になります

担当試験の領域についても、上司に希望を伝えることはできると思いますが、

基本的には選べません。

よって多くの本数・領域を担当している分、

その疾患や薬についての勉強が大変になります。

看護師のように実際に注射をしたりはしませんが、

きちんとした知識を持っていることは治験コーディネーターとしての信頼に繋がります。

とはいえ、もし患者さんに接していて、どうしても分からない・迷うことは、医師に確認してからお話しすれば良いので、不安になりすぎる必要はありません。

 

 

苦労 仕事とプライベートが切り分けしにくい

 

SMO所属の治験コーディネーターの場合、会社の携帯電話を付与され、1日中所持していることになります。

患者さんや病院から電話がかかってくるかもしれないと思うと、仕事とプライベートが完全に切り分けができていない気持ちになるものです。

看護師はシフト制で、自分の勤務帯が終わってしまえば

休日は基本的に電話が入ることはありません。

治験コーディネーターに夜間休日も連絡が来る場合は、

例えば

  • 休日も治験薬内服のための電話案内が、プロトコル(治験実施計画書)に明記されているとき
  • 急性期の試験で、治験に参加する候補の方がいるとき(治験コーディネーター間で日毎に当番は決めます)
  • 体調不良の場合の連絡 

などです。

体調不良の場合は、大きな病院であれば、病院に連絡することになっているかもしれませんが、クリニックの場合、治験コーディネーターが第1連絡先となる場合もあります。

会社の携帯電話を終始所持しているというのは緊張感があり、転職後は、看護師時代の完全な休日を懐かしむことは多かったです。

 

 

苦労 看護師と比較して仕事が個人プレイ

 

「看護師時代はチームで頑張ってる感じがあったけど、
 治験コーディネーターは1人で仕事をしているみたいで、孤独に感じる」

このように言っており、入職後短期間で退職していった後輩もいました。

看護師時代と比較すると、確かに単独で仕事をしている感覚は強いと思います。

ちなみ私は、

「個人の裁量で仕事ができるって、気を遣わなくていいし最高〜♪」

と感じていたので、人によって全然感じ方が異なるのだとわかります。

ちなみに後輩はまた看護師に戻って働き、チームで協力して、患者さんをよくするということに、喜びを感じているようです。

 

自分の裁量で仕事が進められる環境を満喫していた私でしたが、個人で仕事をすることが多い分、仕事の仕方や解釈の仕方が、先輩によっても十人十色で戸惑う場面はありました。

あまり大きな声では言えないですが、看護師より仕事におけるグレーゾーンが広いような気がします…。

 

 

もちろん完全に個人プレイで仕事を進めていくということではなく、一応治験コーディネーターも所属するグループはあります。

また、施設(病院やクリニックのこと)で遂行している治験の数が多い、または工数のかかる治験があれば、それだけその施設担当者も増えます。

しかしそうでない場合は、担当する施設によっては、

施設を担当して常在しているのは1人の治験コーディネーターだけ、ということもあります。

私も、患者さんの来院もなく事務作業が中心の日は、

気づくと

「あれ?今日会話したのって、院内スタッフの方に少し業務連絡をしただけ…!」

と、ほとんど誰とも会話しないで仕事が終わった日もありました。

会社ではグループに所属はしているのですが、グループメンバーとの交流も、歓迎会や飲み会を除いては、メールや電話、時折帰社した時に挨拶する程度の関係性になってしまいがちです。

実際に現場で共に仕事をしている訳ではないので

仕事上不明点があった場合も、「上司や先輩に連絡を取りづらいな」と思うこともありました。

また、普段個人で仕事をしていることが多いため、

有給を取りたい時・万が一体調不良の時のために

他の人が代理でも仕事ができるように情報共有や申し送りは不可欠です。

その準備を通常業務をこなしながら同時に進めていくのは、結構大変です。

普段からグループで業務状況を報告はし合い、適宜手伝い合う関係性が理想ですね。

 

 

苦労 会社の一員としての振る舞いが必要

 

病院のスタッフであった看護師と違って、SMO所属の治験コーディネーターは会社員です。

これまであまり重視されて来なかった、ビジネスマナーも習得が必要になります。

私の場合は苦労とまでは思いませんでしたが、

実際に1人のOLとして働くということは

病院の中にずっといるのとは、また違う振る舞いが求められることは感じました。

もちろん大変な側面だけではありません。

「名刺交換やお昼休憩のお外ランチも新鮮で嬉しかったです。」

「病院の外の人間が、一般診療でも十分忙しい病院のスタッフの皆様に、お手を煩わせて治験業務をお願いしている」

という意識を持っておく必要があります。

看護師時代とは違い、より低姿勢で、

より丁寧な態度で振る舞うことを心がけていました

担当施設が変わると、また1から人間関係を構築していかなければならないので、都度緊張していたことを覚えています。

たただ見方を変えてみると、試験や施設毎に関わる病院スタッフが変わるので、次々新しい方と出会える魅力でもあります。

 

また、会社員の一員なので、利益を追求することや営業的な要素も、仕事の一つとして含まれます。

これを私は「やりがい」と捉えており、

別記事「治験コーディネーターのやりがいは?【7年間働いた筆者が解説】」にて

より深く解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

 

tsumtsum-writer.com

 

 

苦労 事務作業が多い

 

看護師時代は、電子カルテ以外にパソコンで作業をすることはあまりなかったと思いますが

治験コーディネータの仕事は半分以上、体感として7割位は事務作業です。

故に、「看護師として動き回るのが好きだった」

「事務作業が苦手」と感じる方は苦痛を感じるかもしれません。

逆にこれは、

「身体が辛くなくて嬉しい!」

と思う人もいるので、人それぞれです。

 

苦労 英語に触れる機会が多い

 

英語に触れる機会は、想像していた以上に多かったです。

私は学生時代を最後に英語の能力は止まったままでしたので、最初は驚きと不安がありました。

実際に仕事をする場面では、製薬会社側の担当者の力を借りることもできます。

また、SMO所属であれば、英語に翻訳してくれる担当部署がある会社もあります。

よって、「英語が完璧でなければ仕事ができない」訳ではありませんが、英語が得意であることに越したことはないと思います!

ある程度、治験で頻出する英単語は決まっては来るので、

そこをポイントに仕事をしながら再度勉強していく姿勢が良いと思います。

 

まとめ 治験コーディネーターの苦労 

以下が、看護師から治験コーディネーターへ転職した場合、苦労に感じる可能性がある部分です。

  • 治験業界の専門用語やルールの理解

  • 医療行為ができない
  • 薬や疾病に関する広い知識

  • 仕事とプライベートが切り分けしにくい

  • 看護師と比較して仕事が個人プレイ

  • 会社の一員としての振る舞いが必要

  • 事務作業が多い

  • 英語に触れる機会が多い

 

一見多く見えますが、看護師と違う点をどう感じるかは人それぞれなので、私のようにそれほど苦に感じない人もいると思います。

護師から転職した場合、このような違いがあるということを知っておくだけで、転職してからも戸惑うことは減るのではないでしょうか。

「治験コーディネーターという仕事もやってみてもいいかも?」と思った方は、

ぜひ転職も視野に入れてみてください!